ずずの読書な日々
 
主に読書日記です
 



2009年7月10日を表示

「レインツリーの国」

   有川浩(新潮文庫)

ネット上で知り合い、ある本の感想を語り合うためにメール交換を始めた伸行とひとみ。
メール交換するたびに意見が合うところ、あるいは自分にはない感性に
新しい発見をしたり、どんどん盛り上がっていきます。
話がはずめば当然、会いたくなります。
伸行は「会って直接話がしたい。」と率直に言うのですが、
ひとみは、なかなかいい返事をくれません。
それをどうにか説得して、会うことになったのはいいのですが、
実際会ってみると、なぜか噛み合わない。
メールでは、あんなに話がはずんだのに、どうしてこんなに噛み合わないのか。
次第に苛立つ伸行に、ひとみは自分の重大な秘密を打ち明けます。
ひとみには、ネット上でしか本当の自分をさらけ出すことのできない、
理由があったのです。


この若いふたりに好感持てたのは、秘密を打ち明けられてからも
簡単に別れたりせず、ちゃんと向き合って理解し合おうとするところです。
特に伸行の方は「お互いわかりあえるまでケンカしてみようよ。」と
提案するところなど、「若いのに、なかなかやるね!」と言いたくなります。

しかし、彼女とのゴタゴタを職場の同僚の女の子に相談したことを
わざわざ彼女に報告するところなどは、若さゆえの鈍さでしょうか。

本当は、ひとみの「秘密」に関して語りたいのですが、ネタバレになるので
やめておきます。
とにかく、この物語を読むことによって今まで知らなかったことを
知ることができて良かったです。
できるだけ多くの人に読んでもらいたい、そしてできるだけ多くのひとに
そのことを知ってもらいたい、と思った小説でした。

ちなみに私は、作者が名前からして男性だと思ってました。
名前は「ひろ」と読む女性だとわかったのは、つい最近でした。



7月10日(金)17:59 | トラックバック(0) | コメント(4) | 趣味 | 管理


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