「レインツリーの国」 |
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| 有川浩(新潮文庫)
ネット上で知り合い、ある本の感想を語り合うためにメール交換を始めた伸行とひとみ。 メール交換するたびに意見が合うところ、あるいは自分にはない感性に 新しい発見をしたり、どんどん盛り上がっていきます。 話がはずめば当然、会いたくなります。 伸行は「会って直接話がしたい。」と率直に言うのですが、 ひとみは、なかなかいい返事をくれません。 それをどうにか説得して、会うことになったのはいいのですが、 実際会ってみると、なぜか噛み合わない。 メールでは、あんなに話がはずんだのに、どうしてこんなに噛み合わないのか。 次第に苛立つ伸行に、ひとみは自分の重大な秘密を打ち明けます。 ひとみには、ネット上でしか本当の自分をさらけ出すことのできない、 理由があったのです。
この若いふたりに好感持てたのは、秘密を打ち明けられてからも 簡単に別れたりせず、ちゃんと向き合って理解し合おうとするところです。 特に伸行の方は「お互いわかりあえるまでケンカしてみようよ。」と 提案するところなど、「若いのに、なかなかやるね!」と言いたくなります。
しかし、彼女とのゴタゴタを職場の同僚の女の子に相談したことを わざわざ彼女に報告するところなどは、若さゆえの鈍さでしょうか。
本当は、ひとみの「秘密」に関して語りたいのですが、ネタバレになるので やめておきます。 とにかく、この物語を読むことによって今まで知らなかったことを 知ることができて良かったです。 できるだけ多くの人に読んでもらいたい、そしてできるだけ多くのひとに そのことを知ってもらいたい、と思った小説でした。
ちなみに私は、作者が名前からして男性だと思ってました。 名前は「ひろ」と読む女性だとわかったのは、つい最近でした。
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7月10日(金)17:59 | トラックバック(0) | コメント(4) | 趣味 | 管理
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