二十四の瞳 |
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| 壺井栄(新潮文庫)
確か私が小学生だった頃(かなり昔ですが)、 この本は推薦図書だったように思います。
ところが、この本を読むのはまったく初めてでした。 友人が、古い映画を観て感動した、と言っていたので、 原作を読んでみたくなったのです。
瀬戸内海べりの、ある小さな村に赴任してきた大石先生と 12人の子ども達のお話です。
最初の頃は、幼い子ども達が8キロもの道のりを歩いて 足に大けがを負った先生のお見舞いに行ったり、 学校のそばにある川で獲れたカニを食べようとしたり、 ほのぼのとした話が続くのですが、
やがて戦争という抗うことのできない運命の渦に 大石先生も子ども達も巻き込まれていきます。
お国のために戦って命をおとすことは名誉なこと、と 子ども達に、小さな頃から教え込まなければならない 教育に疑問を抱き、一旦は教職を離れる大石先生ですが、
夫を戦争で失い、家族を養うために再び教育の場に戻ると、 かつての教え子達の面影を残す子ども達に出会います。
戦争をテーマにした小説や映画やドラマは 切なく悲惨なものが多いので、いつもさけていた私ですが、 知っておかなければならない事実があるということを この小説によって思い知らされました。
どんなに別れがつらくても、戦地に向かう人々に向かって 「もどってきて。」と大きな声では言えない、 もし誰かに聞こえたら、非国民と呼ばれてしまうような、 そんな時代があった、ということを知ることが出来て 本当に良かったと思いました。
戦争の恐ろしさを知るために、多くの人々に読まれて欲しい一冊です。
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8月28日(火)11:04 | トラックバック(0) | コメント(0) | 趣味 | 管理
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