サマータイム |
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| 佐藤多佳子(新潮文庫)
11才の進は雨の降るプールで、 大人っぽくてクールな雰囲気を持つ、2才年上の広一と出会います。 広一は数年前の交通事故により、父親と自分自身の左腕を亡くしていました。
右手だけで、ピアノで奏でられるガーシュインの名曲「サマータイム」に 魅せられた進は、姉の佳奈に広一を会わせます。
ピアノが弾ける佳奈は左手の伴奏部分を引き受け、 広一と合わせていくうちに心を通わせるようになります。
広一の突然の引越しにより、3人の関係は一旦終わりを告げるのですが、 進は広一の影響でピアノを習い始め、 佳奈は本気で誰かを好きになることもなく、
「また会えるといいね。」 広一がくれた手紙にあった言葉を胸に、青春時代を過ごします。
この本にはタイトル作の他に、関連作がいくつか入っていて、 佳奈の幼い頃の話や、広一の引越した後の話などもあり、 どれも、それぞれの人格形成を納得させるもので興味深く読めました。
広一のお母さんがジャズピアニストで、ジャズの名曲が いくつかでてくることも、 ジャズ好きの私には嬉しい内容でした。
この小説は佐藤さんのデビュー作だそうです。 デビュー作で、こんなにきらきらした素敵な作品が書けるなんて、 その才能に脱帽です。
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8月31日(金)11:14 | トラックバック(0) | コメント(0) | 趣味 | 管理
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