ずずの読書な日々
 
主に読書日記です
 



2007年8月25日を表示

避暑地の猫

 宮本輝(講談社文庫)

軽井沢の別荘に一年に一度、避暑にやってくる別荘主の家族と、
その別荘の敷地内に住む番人の一家の、愛と憎悪の物語です。

宮本さんの作品は数冊読んでいますが、これが一番インパクトが強くて
一番好きな小説になりました。

軽井沢の森閑とした風景と、それに相対するどろどろとした
人間模様を巧くからめて、
読み手を幻想的な世界に導くのです。

思わせぶりな前ふり、
伏線の張り方、
人の心の強さや脆さ、
霧にけむる軽井沢の情景と、それに惑わされる人々の
心理描写。

もう、お見事!と言うしかないくらいの力作でした。

決して後味の良い終わり方ではなく、
あの人はどうしてあんな行動にでたのか?などの
数々の疑問を残したりするのですが、

幻想的な宮本ワールドに浸りたくなって、
何度も読み返してしまうと思います。



8月25日(土)08:42 | トラックバック(0) | コメント(2) | 趣味 | 管理


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