ずずの読書な日々
 
主に読書日記です
 



趣味

「雨恋」

   松尾由美(新潮文庫)

恋人に振られ、アパートの隣人ともトラブルを起こした沼野渉は
引っ越しを考えていました。
そこに降ってわいたような良い話が持ち上がります。
叔母さんが海外勤務になり、留守の間自分の住んでいたマンションに、
管理がてら住んで欲しい、と言うのです。
家賃はアパートよりも安い金額を提示されたけど、それには
飼いネコの面倒をみるという条件付きなのでした。
ネコを飼った経験はないけれど、嫌いではないし、どうにかなるだろう、と
引き受け、住んでみると、生き物と一緒に暮らす生活も悪くない。
第一、きちんとした躾を受けたネコなのであまり手がかからない。
平穏無事な日々を送るはずだったのですが、ある日幽霊の存在に気付きます。
その幽霊は「私は自殺したということになっているけど、本当は
殺されたのです。」と打ち明けます。
誰に、どのような理由で殺されたのかもわからないまま亡くなったのだ、
ということを告げられ、話の流れで渉は、その真相を突き止めると
幽霊に約束するのです。

松尾さんの作品を読むのは初めてです。
ファンタジーやSFものを書いてる人だそうで、確かにこの物語も
ファンタジーやSFの要素もあるのですが、それだけではない、
深い味わいが物語の中にあります。
また別の作品も読みたくなりました。

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この季節にはありがちなのですが、急に暖かくなったかと思えば
また寒さがぶり返したりします。
風邪も、一旦治ったと思っても、再発したりもします。

今月は長男のライブが沢山あるので、体調を万全にしてのぞみたいと
思っています



3月5日(金)14:29 | トラックバック(0) | コメント(0) | 趣味 | 管理

「食堂かたつむり」

   小川糸(ポプラ文庫)

同居していた恋人に荷物のほとんどを持ち逃げされ、そのショックで
声を失った倫子は、十年ぶりに折り合いの悪かった母親のいる故郷に
戻ります。
自分ができることといえば料理しかないから、と自宅の敷地内にある
倉庫を改造して食堂をはじめるのですが、やがて「食堂かたつむりで
食事をすると、幸運が訪れる」という噂が口こみで広がり、
食堂は繁盛するのです。

「山あいの故郷」なので、住んでる人も少なく、当然登場人物も
少ないのですが、この人達のキャラがとてもいいのです。
近所に住む、何かと倫子の手助けをしてくれる熊さん、倫子のお母さん、
お母さんの愛人(?)のネオコンさん、などなど。

そして倫子の料理のメニューの決め方、食材の選び方がとてもいい。
あくまでも食べる人のことを第一に考え、最初から最後まで丁寧に
手を抜かずに作られるのです。
それには熊さんの存在も重要で、何故、何かと倫子に気を遣って
くれるかというと、その理由があとで明らかにされるのですが、
それがまた泣けてくるのです。

自分の気持ちに添った料理を食べると幸せな気分になり、
力がわいてくる。
その力がまわりにも影響を及ぼし、自然と幸運を引き込むことに
なるのではないでしょうか。
「食べること」の重要さを教えてくれる物語でした。

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3月になってしまいました。
やらなければならないことが沢山あります。

とりあえず今日はひな祭りなので、ひなあられを買ってきます



3月3日(水)15:09 | トラックバック(0) | コメント(0) | 趣味 | 管理

「ラッシュライフ」

   伊坂幸太郎(新潮文庫)

何でも金の力で手に入れる男に翻弄される女性画家、
泥棒を生業にしている男、
不倫相手の奥さんを殺害する計画を立てる心理カウンセラー、
父親に自殺され、ある人物を「神様」と崇拝する青年、
リストラにあい、家族にも見捨てられ、野良犬と共に行動する男、
それぞれ別々に行動する人々が、やがて交錯して意外な結末に結びつきます。

伊坂氏の作品を読んだのは初めてですが、非常に読みやすく、
テンポも早いし、登場人物がみんな魅力的に描かれているので、
中だるみなしで一気に読めました。
他の作品も読んでみたくなりました。

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やっと今日からどうにか家事ができるようになりました。
昨日も一昨日も、少しはやってたのですが、食事は簡単なものばかりで
すませていたのです。
簡単にできる食事というのは、すぐに飽きてしまいますね。
今夜はちゃんと作ります。

ところで私より少し前に風邪を引いた長男が、たまたま家にあった風邪薬を
二日続けて飲んだのですが、二晩とも、変な夢をみたそうで、
それは「薬のせいだ」と言い張るので、偶然でしょう、と
笑い飛ばしていたのですが、先日私も同じ薬を飲んだら
一晩中、ロン毛に口ピアスの男の子が夢枕に立つ、という夢をみました

これも単なる偶然でしょう。
ええ、その頃たまたま何度か家にロン毛に口ピアスの男の子が
出入りしてたから、その印象が強かっただけでしょう。

最近うちには金髪の女の子とか、色んな人が出入りしてて、
外見だけみるとギョギョッ!となるけど、意外にも良い子が多いのですよね。
礼儀正しくて、きちんと挨拶してから家に入るし、靴もちゃんと揃えて脱ぐし。
その点、うちの息子達は全然ダメです

親はちゃんと躾ないといけませんね。



2月27日(土)16:32 | トラックバック(0) | コメント(0) | 趣味 | 管理

「風に舞いあがるビニールシート」

   森絵都(文春文庫)

雑誌やテレビで有名になったパティシエの助手になったはいいけれど、
その人の気まぐれに散々振り回され、クリスマスにも県外に
食器の買い付けに行かされ、恋人に「俺とその人とどちらをとるか
真面目に考えてくれ」と言われた女性。
夫ある身ではあるけれど、犬のボランティア活動のために
水商売のバイトをする女性。
小さな頃から仏像に興味を持ち、仏師を目指したが夢破れ、
仏像修復師として働くが、変にこだわりを持つために、同じ職場の人達と
うまく馴染めずにいる男性。
難民を救済、支援する国連機関に勤め、そこで知り合った男性と結婚するが、
夫は現場に行くことが多く、夫婦としてのあり方に悩む女性。
などなど、自分で選んだ道を信じて一生懸命生きる人々のお話です。

力作だと思っていたら、直木賞受賞作なんですね。
犬のボランティアとはどういうものか、仏師(仏像を彫る人)と
仏像修復師は全然違う職業であること、難民を救済する国連機関のこと、など
色々と勉強になる話が沢山ありました。
特にラストのタイトル作は考えさせられたし、努力したことは、
必ずしも報われるものではないけれど、それでも無駄になることなど
ないのだと知り、読後は清々しい気持ちになりました。



2月20日(土)22:35 | トラックバック(0) | コメント(2) | 趣味 | 管理

「あとのない仮名」

   山本周五郎(新潮文庫)

江戸で腕利きの植木職人だった男が、妻とのちょっとした心のすれ違いにより、
家も職も捨てて放蕩ものになってしまう、その複雑な内面を描いた
タイトル作の他、男の友情を描いた話、他の男を慕う女を無理矢理
妻にむかえ、罪の意識にさいなまれながらも地道に誠実に生きようとする
男の話、など、8編からなる時代物の短編集です。

山本氏の作品を読んだのは初めてですが、ところどころユーモラスな
描写があり、それがどんなに時代が変わろうとも通じるような
センスあふれるもので、かといって軽薄なものではなく、
巧みな心理描写などもあり、奥行きのある作品ばかりで、
人気が高いのも、うなづけました。
あと、ほんの少しの思いやりがあれば、ほんの少しの言葉があれば、
きっと、彼らの関係が壊れることもなかっただろうに、などと
考えさせられることも多く、何度も再読したくなる作品集でした。

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先日降った大雪が、半分くらい溶けてやれやれ、と思ってたのに、
今日、またも雪が降り続いてます。
自転車使えないのが辛いです。

しかし、こんな天気でも自転車に乗る人が、たまにいるのですよね。

どうか、お怪我のないように、気をつけてください!



2月11日(木)16:49 | トラックバック(0) | コメント(0) | 趣味 | 管理


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