ずずの読書な日々
 
主に読書日記です
 



2010年4月6日を表示

「群青の夜の羽毛布」

   山本文緒(文春文庫)

大学生の鉄男はアルバイト先で出会った「さとる」という女性に惹かれ、
やがて付き合うようになります。
丘の上の家で、母親と妹とひっそり暮らす「さとる」は
他の女性にはない魅力を持っているのですが、その反面、謎も多く、
積極的にせまってきたかと思いきや、急にそっけない態度を
とったりします。
彼女との付き合いが深まっていくにつれ、疑問は段々ととけて
いくのですが、家族間の確執や憎悪に鉄男も巻き込まれ、
とんでもない事件へと発展していくのです。

読後は「やってくれましたね!山本さん!」と思ってしまいました。
こういう、親子間や夫婦間の愛憎や確執をテーマにしたものを
リアルに描くのが巧い作家だな、といつも思うのです。
今回も読後はゾゾッとして、しばらく何も手につかなくなるくらい、
リアルな作品でした。
それにしても、自分の娘に「さとる」という男性の名前をつけた理由が
「男の子が欲しかったから。」とは、母親のエゴがもろわかりですね。

山本さんの作品は後味が良くないものが多いのに、それでもまた
読みたくなるのは、主人公に共感できる部分も多いからだと思います。
けれど、今回も恐い作品でした



4月6日(火)22:56 | トラックバック(0) | コメント(0) | 趣味 | 管理


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