「群青の夜の羽毛布」 |
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| 山本文緒(文春文庫)
大学生の鉄男はアルバイト先で出会った「さとる」という女性に惹かれ、 やがて付き合うようになります。 丘の上の家で、母親と妹とひっそり暮らす「さとる」は 他の女性にはない魅力を持っているのですが、その反面、謎も多く、 積極的にせまってきたかと思いきや、急にそっけない態度を とったりします。 彼女との付き合いが深まっていくにつれ、疑問は段々ととけて いくのですが、家族間の確執や憎悪に鉄男も巻き込まれ、 とんでもない事件へと発展していくのです。
読後は「やってくれましたね!山本さん!」と思ってしまいました。 こういう、親子間や夫婦間の愛憎や確執をテーマにしたものを リアルに描くのが巧い作家だな、といつも思うのです。 今回も読後はゾゾッとして、しばらく何も手につかなくなるくらい、 リアルな作品でした。 それにしても、自分の娘に「さとる」という男性の名前をつけた理由が 「男の子が欲しかったから。」とは、母親のエゴがもろわかりですね。
山本さんの作品は後味が良くないものが多いのに、それでもまた 読みたくなるのは、主人公に共感できる部分も多いからだと思います。 けれど、今回も恐い作品でした
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4月6日(火)22:56 | トラックバック(0) | コメント(0) | 趣味 | 管理
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