「風に舞いあがるビニールシート」 |
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| 森絵都(文春文庫)
雑誌やテレビで有名になったパティシエの助手になったはいいけれど、 その人の気まぐれに散々振り回され、クリスマスにも県外に 食器の買い付けに行かされ、恋人に「俺とその人とどちらをとるか 真面目に考えてくれ」と言われた女性。 夫ある身ではあるけれど、犬のボランティア活動のために 水商売のバイトをする女性。 小さな頃から仏像に興味を持ち、仏師を目指したが夢破れ、 仏像修復師として働くが、変にこだわりを持つために、同じ職場の人達と うまく馴染めずにいる男性。 難民を救済、支援する国連機関に勤め、そこで知り合った男性と結婚するが、 夫は現場に行くことが多く、夫婦としてのあり方に悩む女性。 などなど、自分で選んだ道を信じて一生懸命生きる人々のお話です。
力作だと思っていたら、直木賞受賞作なんですね。 犬のボランティアとはどういうものか、仏師(仏像を彫る人)と 仏像修復師は全然違う職業であること、難民を救済する国連機関のこと、など 色々と勉強になる話が沢山ありました。 特にラストのタイトル作は考えさせられたし、努力したことは、 必ずしも報われるものではないけれど、それでも無駄になることなど ないのだと知り、読後は清々しい気持ちになりました。
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2月20日(土)22:35 | トラックバック(0) | コメント(2) | 趣味 | 管理
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