冬のはなびら |
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| 伊集院静(文春文庫)
逆境に立ち向かい、ひた向きに生きてきた人達の、6つの短編集です。
会社の存続が危ぶまれても、どうにか現状を維持しようと頑張る男性達、 老年の恋に目覚めて、ある決心をした女性、 亡くなった友人の意思を継ぐために未知なる世界に旅立って行った人、
そんな人達の物語です。 読みながら、うるうる涙するものではなく、 読み終わったあと、しばらくしてから感動の波がじわ~っと 訪れるような、そんな心温まる内容でした。
この短編集の中で一番気に入ったのが、 「雨あがり」です。
前半は、コンプレックスをかかえ、内向的で不器用な自分を どうにかしたい、と思いつつも今の生き方を変えられない、 18才の男の子の心の葛藤が描かれているのですが、
後半は、それを覆すかのように、意外にも周りの人達は 彼を温かい目で見てくれていて、 彼の人柄や仕事振りを認めてくれていることに気付かされるのです。
人は誰でも、たったひとりでも自分を認めてくれる人に出会えると、 それが大きな救いや励みになるのだと、しみじみ感じました。
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9月13日(木)11:33 | トラックバック(0) | コメント(0) | 趣味 | 管理
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