「九つの、物語」橋本紡 |
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| (集英社)
両親が海外に旅行中で、一軒家にひとりで暮らす大学生「ゆきな」のもとに 突然、亡くなったはずのお兄さんが現れます。 料理が上手で読書家だったお兄さん。 生前とまったく変わりなく、お兄さんは「ゆきな」に美味しい料理を 作ってくれたり、本の話をしてくれたり、男の子との付き合い方に おせっかいをやいたりします。 やがて、お兄さんが現れた理由が明らかになっていくのですが、 それは「ゆきな」にとって辛く哀しい事実なのでした。
今までこの作者のことは何も知りませんでした。(スミマセン!) たまたま本屋さんでみかけて、店員さんの手書きの感想に 「今、一番売りたい本です!」とあり、可愛いイラストの表紙にも惹かれ、 パラパラと捲ってみると、良さそうな内容で、すぐに読みたくなり、 めったに買わない新書を買ってしまいました。
タイトルからわかる通り、九つの章に分かれていて、それぞれ ある小説にちなんだ内容になっています。 田山花袋の「蒲団」だったり、井伏鱒二の「山椒魚」だったり。 最後の章はサリンジャーの「ナインストーリーズ」がでてきます。 あとでネットで調べてわかったことなんですが、作者はこの 「ナインストーリーズ」とタイトル名がだぶらないように、あえて 「九つの、」と「、」を入れたのだそうです。
それぞれの小説にも興味でてきたし、お兄さんが作る料理も美味しそうで、 作ってみたくなりました。 そしてラストもホッとできる内容だったし、この作者の他の小説も 読んでみたくなりました。
橋本氏のブログもみてみたら、最近文庫化された「流れ星が消えないうちに」が この夏の「新潮文庫の100冊」に選ばれたそうで、非常に喜んでいました。
元々はライトノベルズ作家だそうですが、そうでない作品も 好評だそうです。
余談ではありますが、この本を読みながら「こんな素敵なお兄さんがいたらいいのに!」と 思ってしまいました。
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7月13日(日)10:20 | トラックバック(0) | コメント(0) | 趣味 | 管理
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