「真昼なのに昏い部屋」 |
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| 江國香織(講談社文庫)
完璧に主婦業をこなし、夫やその家族にも忠実な美弥子は、 友人を通じて知り合ったジョーンズさんに誘われて、散歩に出掛けるようになります。 大学の講師を務めていて、学生にも慕われ、友達づきあいも大切にするジョーンズさんは 話題も豊富で、散歩の度に美弥子は見慣れたはずの街に新しい発見をします。 ジョーンズさんと会うことに、なんのやましさも感じない美弥子は いつも夫に外出の報告をしていたのですが、夫は美弥子の話には上の空で 勝手に、複数で散歩に出掛けていると勘違いしていたのでした。 しかし穏やかであったはずの日々に、美弥子の友人が、夫にジョーンズさんとのことを 忠告したことから、美弥子と夫、美弥子とジョーンズさんとの関係が 変わっていくのです。
以前は、好きな作家を聞かれたら、すぐに「江國香織さん!」と答えるくらい 大好きだったのですが、段々と小説の中の女性に共感できなくなり、 何年も江國さんから離れていました。
久しぶりに江國さんの小説を書店でみかけて、手にとってみて、 この、美弥子という人なら共感とまではいかなくても、 好感を持てそうで 読んでみたのですが、やはり潔い行動力に好感を持ちました。
風景描写、心理描写、言葉の選び方など、江國さんは日本語を とても綺麗に使う人なのだと、再確認しました。
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10月27日(日)00:19 | トラックバック(0) | コメント(0) | 趣味 | 管理
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