「私が語りはじめた彼は」 |
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| 三浦しをん(新潮文庫)
大学教授、村川融という男について、彼の助手、元妻、浮気相手の夫、 再婚相手の娘など、彼をめぐる人達が、彼について語る連作短編集です。 中でも一番印象的だったのが、彼の息子のお話。 母親と離婚して、別の女性と再婚した父親を訪ねるのですが、 「いつでも気軽に訪ねておいで。」と言っていたのに、実際会ってみると そっけなくて、再婚相手の女性も格別魅力ある人ではなく、 いっそ、自分の母親よりも若くて魅力的な人だったなら、 それなりに納得できたのに、なんともいえない理不尽な気持ちで 父親の家をあとにするのですが、その時の心理描写がやけにリアルで切なくて、 そしてそれを救うかのように、さりげなく近づいてくる友達の存在が温かくて、 雨上がりの空のような清々しい気持ちにさせてくれるのです。
この作品も直木賞候補にあげられて、実際受賞したのは 前に感想をUPした「まほろ駅前多田便利軒」の方でしたが、 こちらが選ばれてもおかしくはないと思うほどの力作でした。
三浦さんの小説は、その作品によって作風ががらっと変わるそうです。 他の作品も読んでみたくなりました。
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ここ数日、体調が悪くて貧血気味だったので、自分を元気づけるために ハーゲンダッツアイスを食べました。
めちゃうまス。
元気でたス。
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6月4日(木)23:06 | トラックバック(0) | コメント(0) | 趣味 | 管理
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