ずずの読書な日々
 
主に読書日記です
 



2009年6月を表示

「私が語りはじめた彼は」

   三浦しをん(新潮文庫)

大学教授、村川融という男について、彼の助手、元妻、浮気相手の夫、
再婚相手の娘など、彼をめぐる人達が、彼について語る連作短編集です。
中でも一番印象的だったのが、彼の息子のお話。
母親と離婚して、別の女性と再婚した父親を訪ねるのですが、
「いつでも気軽に訪ねておいで。」と言っていたのに、実際会ってみると
そっけなくて、再婚相手の女性も格別魅力ある人ではなく、
いっそ、自分の母親よりも若くて魅力的な人だったなら、
それなりに納得できたのに、なんともいえない理不尽な気持ちで
父親の家をあとにするのですが、その時の心理描写がやけにリアルで切なくて、
そしてそれを救うかのように、さりげなく近づいてくる友達の存在が温かくて、
雨上がりの空のような清々しい気持ちにさせてくれるのです。

この作品も直木賞候補にあげられて、実際受賞したのは
前に感想をUPした「まほろ駅前多田便利軒」の方でしたが、
こちらが選ばれてもおかしくはないと思うほどの力作でした。

三浦さんの小説は、その作品によって作風ががらっと変わるそうです。
他の作品も読んでみたくなりました。

=====

ここ数日、体調が悪くて貧血気味だったので、自分を元気づけるために
ハーゲンダッツアイスを食べました。



めちゃうまス。

元気でたス。



6月4日(木)23:06 | トラックバック(0) | コメント(0) | 趣味 | 管理


(3/3ページ)
最初 1 2 >3<