ずずの読書な日々
 
主に読書日記です
 



2008年1月8日を表示

生まれる森

 島本理生(講談社文庫)

失恋の痛手からなかなか立ち直れない主人公は、ある理由から
両親と一緒にいることも気まずくなり、夏休みの間だけ、大学の友人から
アパートの部屋を借りて、一人暮らしを始めます。
そんな時に高校時代の友人「キクちゃん」にキャンプに誘われて、
それがきっかけで彼女の兄弟との交流が始まり、次第に心が癒されていくのを感じます。


島本さんの作品は数冊読んでいますが、どれも人物描写がしっかりしていて、
しかも魅力的に書かれています。
この小説にでてくる「キクちゃん」も自由奔放で学校の先生にとっては
問題児なのかもしれませんが、主人公にとっては、いて欲しい時に
そっと寄り添ってくれるような、気が利く女の子。
そしてその弟は無口で愛想はないけれど、さり気なく主人公を慕ってくるし、
兄にいたっては、一見、優柔不断でヘタレっぽいのに、
長い間長男を務めてきた人らしい芯の強いところを要所要所でみせてくれます。

この「兄」が、主人公が自殺することを思いとどまらせようとして言う、
その台詞がまた良いのです。
一歩間違えばキザに聞こえるのに、この人が言うと妙に説得力を持ってしまうのです。

若い感性で描かれた瑞々しい作品でした。

=====

長男は昨日から、次男は今日から学校です。


犬井ひろし風に
「自由だ~~~!」



1月8日(火)10:04 | トラックバック(0) | コメント(0) | 趣味 | 管理


(1/1ページ)