ずずの読書な日々
 
主に読書日記です
 



趣味

「光媒の花」

   道尾秀介(集英社文庫)

細々と家業を続けながら、認知症の母親の面倒をみている正文は、
母親の描く花の絵から、三十年前、羽振りの良かった父親と過ごした
別荘地での出来事を思い出します・・・「隠れ鬼」

両親が仕事が忙しく、夕御飯もふたりだけで食べなければならない幼い兄妹の唯一の楽しみは、
日が暮れてから河原に虫を取りに行くことでした。
ある日、河原の向こう岸に懐中電灯の光を見つけ、自分達と同じ境遇の子どもが
いるのだろうと、相手と交流を図ろうとする・・・「虫送り」

河原で虫を探していた中二の少年が、同じクラスのサチという少女に出会います。
サチは数日前から自分を河原でみかけていたと言い、それ以来、どちらからともなく
河原で会うようになるのですが、サチはいつも少年の話に興味を持って聞くのに、
6時前には必ず慌てるように家に帰るのです。
不審に思った少年は、ある日、サチのあとをつけてしまいます・・・「冬の蝶」

など、6編からなる連作短編集です。
道尾さんの小説は初めて読みました。
書店で何気なく手にとって、面白そうだったので購入したのですが、
最初の1ページ目で「この人好き!」と思ってしまいました。
決してあと味の良い内容ではないのですが(特に最初の3編)文体に
惹かれるものがあり、どんどん読みすすんでしまいました。
最初の方の章で未消化だった部分が、最後の章で納得いくようなしくみになっているのも
好感度大でした。

道尾さんの他の作品も、読んでみたいと思いました。

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秋です。
暦の上ではセプテンバーです(パクリ)
寝転んでるネコ(シャレではありません)をみると、仰向けにして
お腹に顔をうずめたくなる今日この頃です。
そしてこの季節になると、森山直太朗氏の「いくつもの川を越えて生まれる言葉たち」
というミニアルバムを聴きたくなります。

この前の日曜日、その↑アルバムを聴いていたら、♪な~つのお~わ~り~♪のところで
次男が「やめろ~!夏が終わった気分になるじゃないか!」と言うので
「てか、もう9月だし。夏、終わってるし。」と返すと
黙って去って行きました。

彼はその時、9月になったことを知らなかったらしいです。



しっかりしろ~受験生!



9月4日(水)16:35 | トラックバック(0) | コメント(0) | 趣味 | 管理

「ロング・ロング・アゴー」

   重松清(新潮文庫)

転校先で知り合った美少女、美智子はほとんど毎日のように「いいものあげる」と
紙せっけんやケシゴムなど、ちょっとしたものをくれるのですが、
彼女の転校の理由は父親の栄転であり、その仕事内容は、美智子の父親の仕事を
脅かすもので、美智子との距離感を量りかねている「いいものあげる」、

小学校教諭の「わたし」が担当する5年生は、進路が「公立組」と「私立受験組」に
分かれていくと同時に、彼らの友情にひびがはいっていくのを感じ
弟の結婚式の招待客のことで右往左往しながらも、修復を試みようとする「永遠」、

スポーツや勉強がいまいちでも、はったりだけでお山の大将でいられても、
小学校高学年ともなると、周りの状況が許さず、お山の大将から
パシリへと変えられようとする日々に戸惑う「チャーリー」、

などなど、幼い頃、誰でも経験したような遠い日々を懐かしむことができる
6編からなる短編集です。

切ない。。。切な過ぎるよ、重松清!

そういえば重松小説なのに、珍しく「永ちゃんネタ」がでてこなかった
気がします。
それを確かめるためにもう一度、最初から丁寧に読まなければ

これと「姉妹小説」と言われてる「せんせい」はまだ読んでないので
近いうちに読みたいと思います。

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先日、ボケ~ッとテレビを観ていたら、若い女の子が海外旅行をする番組やっていて
字幕には「23歳女子ノーブラでスペイン旅行」とあるのです。

「スペイン旅行するのにノーブラって、なんか意味あるの?」とつぶやいたら
ちょっと離れた所にいた長男がドドドッと近づいてきて、
「ノーブラじゃねえよ!ノープランだよ!よく見れ!」と叫んで
またドドドッと去っていきました。
猛暑なので、お許しいただきたいです。

ちなみに上↑で紹介した短編集の中に「人生はブラの上を」という、
変わったタイトルの小説があるのですが、これも非常に良いお話です。



8月22日(木)15:16 | トラックバック(0) | コメント(0) | 趣味 | 管理

「ひとり日和」

   青山七恵(河出文庫)

母親と暮らしていた二十歳の知寿は、母親の転勤を機に、特に目的も持たないまま
上京します。
上京していきなりの一人暮らしは不安だから、と言う母親のすすめるまま
遠い親戚にあたる71歳の吟子さんの家にお世話になります。
一人暮らしで2匹のネコと同居している吟子さんの、駅のホームが見える家で
静かな共同生活が始まり、バイトしたり、恋したり、あるいは
吟子さんにもボーイフレンドができたり、少しずつ生きる目的をみつけだしていきます。

最初は知寿の煮え切らない彼氏がでてきたりして、私の苦手とする退廃的な
内容のような気がしたので、途中で読むのをやめようかとも思いましたが、
我慢して読み進めるうちに退廃的でもなく、ただ淡々とことが運んでいく、
好きなタイプの小説だとわかりました。
最初の印象だけで読むのをやめなくて良かったです。

若い人達に特に干渉するわけでもなく、かといってまったく無関心でもなく
自然に話しかけてくれる吟子さんに好感を持ちました。



8月18日(日)21:24 | トラックバック(0) | コメント(0) | 趣味 | 管理

「和菓子のアン」

   坂木司(光文社文庫)

高校卒業後、特になんの目標もなく、とりあえずは働いていた方がいいだろうと
何気なくのぞいたデパ地下で、和菓子屋のバイトに採用された梅本杏子は、
個性溢れる店長や同僚に囲まれながら、和菓子の奥深さを学び
お客さんや、同じデパ地下で働く人々と関わりながら、日々の張り合いを
みつけていきます。

ここにでてくる店長の椿さん、社員の立花さん、バイトの桜井さん、
立花さんの師匠の和菓子職人など、個性豊かなのですが、みんな魅力的で
楽しい人達なのがいい。
そして、なんといっても主人公の「アン」こと杏子ちゃんがとても可愛い。
それに和菓子というものは季節感あふれる中に、ひとつひとつ、ちゃんと
歴史的な意味をもつ、ということも勉強になりました。
アンちゃんの恋の行方(?)も気になるし、続編希望です!



8月6日(火)23:08 | トラックバック(0) | コメント(0) | 趣味 | 管理

もう7月もおわってしまう

今月は一度も更新しませんでした。
そんなワケで、最近読んだ本の感想を一気に。

・「小さいおうち」中島京子(文春文庫)
田舎から都会へでてきて、少女時代を家政婦として過ごしたタキの
昭和初期の頃の物語。
ある日、つかえてた家の奥様の秘密を知ってしまい、奥様とその家庭を守るために
奮闘します。
最終章は語り手がタキから甥にかわり、別の角度から奥様やタキの人生を
みることとなり、切なさを誘います。

・「萩を揺らす雨」吉永南央(文春文庫)
和食器とコーヒー豆を販売するお店「小蔵屋」を経営する「お草さん」が
街で起きた小さな事件を解決すべく、翻弄する物語です。

・「その日まで」吉永南央(文春文庫)
「萩を揺らす雨」の続編。
「小蔵屋」の近所にライバル店「つづら屋」が開店します。
お草さんは「つづら屋」の関係者に嫌がらせのような行為を受けますが
気丈に対応します。

この3冊は色んな人にオススメしたい小説です。



7月31日(水)21:56 | トラックバック(0) | コメント(0) | 趣味 | 管理


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