ずずの読書な日々
 
主に読書日記です
 



趣味

「葉桜」

   橋本紡(集英社文庫)

高校三年生の櫻井佳奈は受験生にもかかわらず、塾にも行かないで、
ひたすら書道教室に通うことを生きがいとしていました。
その理由は長年、書道教室の先生に恋をしてるからで、
先生には奥さんがいることも承知で、先生と奥さんの間には
他者を決して入り込ませる隙を感じさせない、独特の絆すら見受けながらも
ただひたすら会いたくて、通い続けるのです。

そして書道教室に不意に現れた同級生の津田くんと関わったり
辛い事情をかかえた妹、紗英の心配をしたりしていくうちに
佳奈の中で変化が訪れます。

橋本氏の作品を読む度にいつも思うことは「この人は本当に男性なのだろうか?」
ということです。
それくらい、女性の、特に思春期の女の子の心理描写が適格なのです。
そしてラストに先生と思いを伝え合う、その方法がとても切ない。
ほとんど言葉を交わさないのに、それゆえに尚更切ない。
けれど読後はとても清々しい気持ちになる作品です。

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先日の一件ですが、その後書店に行ったら「蘇る変態」がありました。
喜んで購入し、読んでみると、一頁目から変態ぶり炸裂で
とても嬉しくなってしまいました。

と、「葉桜」の感想のあとに書くような内容じゃないな、と思いつつも
報告させていただきます。

てか、本の感想書いたの、随分久しぶりですね(苦笑)



2月24日(火)23:03 | トラックバック(0) | コメント(0) | 趣味 | 管理

「つむじ風食堂の夜」

   吉田篤弘(ちくま文庫)

月舟町の十字路にある、ちょっと変わった食堂は看板を出してないのですが
その十字路はいつもつむじ風が吹いているので「つむじ風食堂」と呼ばれています。
そこに集まる、雨を降らす研究をしている主人公の「先生」、
果物屋の青年、帽子屋の桜井さん、舞台女優の奈々津さんらがおりなす
ちょっと不思議な物語。

このお話は大きな事件が起きるわけではなく、淡々と物語がすすんでいきます。
それでいてどこか異国情緒ただよう不思議な雰囲気をかもし出していて、
この手のお話が大好きな私には、とても楽しく読めました。
休日の前日の夜に、温かいココアでも飲みながら再読したくなるお話でした。

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春頃から認知症予防のため、リコーダーの練習をしています。
ですが一向に上達しないせいか、練習を始めると家人家猫にうるさがられます。
特にネコ2号機のうるさがりようが半端なくて、ニャーニャー鳴きわめきながら
私の身体によじ登って、とことん練習を阻止しようとします。
ネコの阻止をふり払いながらの練習なので、やはり上達しようもなく、
いつまで経っても下手くそなままです



10月10日(金)23:31 | トラックバック(0) | コメント(0) | 趣味 | 管理

「箱庭図書館」

   乙一(集英社文庫)

自分が作家になろうと思ったのは、小学生の時、日誌に書いた創作文がきっかけで
担任の先生に「続きが読みたいからもっと書いてみて」とノートまで渡され、
才能があると褒められたから…「小説家のつくり方」

中学時代、周りになじめなかった「僕」は高校生になってから、自分を少しでも変えるため
部活にはいった。
しかしはいった文芸部の部員は小山先輩ひとりで、目論見は見事にはずれてしまった。
それでも教室に自分の居場所がなかった「僕」は日々、部室に通う。
そして何故か小山先輩とは、憎まれ口をたたきながら自分をさらけ出すことが
できるのだった…「青春絶縁体」

真面目で勉強ができて、良い子の「僕」は周りの人々の期待に応えるため
良い子でい続けなければならなかった。
しかし良い子でいる日々は窮屈で、そんな僕の楽しみは、
ある日拾ったカギを、あちこちの家の鍵穴にさしこむことだった。
いつかはカギが開くことを願って放課後、ちょっとした時間をカギを開ける作業に
さいたが、なかなかカギは開かない。
段々と行動範囲を広げていくうちに、家からそう遠くない場所にも
色んな風景があるということに気づく…「「ワンダーランド」

など、まったく関係がないようにみえて、不思議と折り重なる
6編の連作短編集です。

この小説を読み終わってから、「あとがき」を読んで初めて気づいたのですが
この小説は、新しいアイデアがなかなか浮かばなくなった乙一氏が、
「オツイチ小説再生工場」と称して、読者から募集した小説の中から
いくつかピックアップして、自分流にアレンジした作品集なのだそうです。
オリジナル小説はネットで公開されてるそうですが、元は乙一氏の作品ではないので
ファンの間では賛否両論だったそうです。
私としては、純粋に楽しめたので、こういうのもたまにはいいかな、と思いました。



10月3日(金)13:05 | トラックバック(0) | コメント(0) | 趣味 | 管理

「家族往来」

   森浩美(双葉文庫)

花屋を営む夫婦は経営難のため、妻の弟夫婦に借金の連帯保証人になってほしい、と
頼みに行くのですが
弟に「もう諦めてお店をたたんだ方がよいのでは?」と断られてしまいます。
お店をどうにか続けたいのは、今は亡き母親が苦労して守ってきたことの他に、
もうひとつ、理由があったのでした。…「お福分け」

イラストライターの沢口は、幼い頃から家庭に恵まれなかったせいか、
幸せそうな親子をみつけると、こっそりスケッチするくせがありました。
ある日も電車の中でみかけた親子をスケッチすると、母親に気づかれて、
「絵が完成したら、その絵が欲しい。」と話しかけられます。…「雛の手」
など、ラジオドラマにもなった、ちょっと切なくて心温まる8編の短編集です。

森浩美氏のこの「家族シリーズ」は今回で6作目だそうで、
その記念に(?)以前出てきた人や親子をカメオ出演させたそうです。
いく人かは気づいたのですが、もしかしたら気づいてない人も
いるかもしれないので、機会があったら前作も読み返してみようと
思います。

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最近は、なぜか「今更?」なバンドにはまってます。

ガリレオガリレイ
陰陽座
Acid Black Cherry

「今更?」と言われても、いいものはいい。



9月30日(火)00:45 | トラックバック(0) | コメント(0) | 趣味 | 管理

「鬼の足音」

   道尾秀介(角川文庫)

不注意から壊してしまった椅子の足に、作り手のメッセージをみつけた主人公は
そのメッセージから、43年前に起こった事件にたどり着きます。
椅子は刑務所作業製品で、製作者は家族を惨殺し、無期懲役の判決を受けましたが
懲役5年目の冬、自ら命を絶っていました。
メッセージの意味を探るべく、主人公は事件と深く関わりのあった人を
訪ねます。…「ケモノ」
など、心の鬼に捕らわれた人々を描いた6編の短編集です。

「ネタバレせずにその小説の良さを伝えるのは非常に難しい」と言った人がいましたが、
私も同感で、特にミステリーなどはヒントすら出さないように
感想を述べるのが難しく、「とにかく少しでも興味のある人は読んでみて!
絶対損はさせないから!」としか言いようがないのです。
道尾秀介氏もミステリーの名手で、この作品においても、
6編がなんの脈絡もない短編集ですが、ある章で疑問が残った部分を
別の章でさりげなく伝えてくれるあたり、もう、憎いくらいです。
なお、タイトルの「足」は実際には別の漢字が使われてますが、
私のパソコンでは変換してくれなかったので、普通の「足」という字を
使わせていただきました。

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一か月ほど前、経費節減のため安い美容院に行ったのですが、
そこで思い切り髪にすかしを入れられ、最初はラッキー!と思ったのも束の間、
髪を結ぼうとすればゴムはすべり落ちるし、それでいて朝起きた時の
「山姥感」は今までと何一つ変わることなく、相変わらず次男に毎朝
「不細工だな」と言われ続けてるし、こんなことなら、すかしてもらわなければ良かったと
後悔してます。

髪の量が元に戻るまで、ひたすら待つか、あるいはパーマをかけるか
あるいはいっそ、ショートにしちゃうか、迷い中です。



9月6日(土)23:36 | トラックバック(0) | コメント(3) | 趣味 | 管理


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